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【暗号資産】イーサリアムとは?仕組みやステーキング報酬の獲得方法について解説します!

イーサリアムは、2022年3月時点でビットコインに次ぐ約40兆円の時価総額と圧倒的人気を誇っています。

特に、2020年~2021年においては、米国を始めとする世界的な大規模金融緩和の影響により、イーサリアムの時価総額は一気に上昇していきました。

なぜ、ここまで投資家に注目されるのでしょうか?

本記事では、イーサリアムの持つ価値や仕組み、将来性、さらにはイーサリアム2.0のステーキングにおける報酬獲得方法についても紹介していきます。

イーサリアムとは?

イーサリアムとは、 dApps(分散型アプリケーション)を動かすためのプラットフォーム です。

dAppsとは、分散化されたブロックチェーン上でスマートコントラクトを利用することで実現できるアプリケーションのことです。

スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で契約(コントラクト)を自動的に実行する仕組みのことです。

dAppsは、管理者が不在で、誰にでも自由に作成することができ、誰でも自由に利用することができます。

考案者であるヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアムのことをワールドコンピュータと呼んでいます。

イーサリアム上では、分散型アプリケーションを動作させることを提供しているため、そのように呼んでいるのですね。

イーサリアムの特徴

イーサリアムは、次のような特徴を持っています。

  • スマートコントラクトを実装可能
  • 管理者や仲介者が不在で取引成立
  • 独自のトークン(暗号資産)を発行可能
  • オープンソースのプラットフォーム

スマートコントラクトとは、あらかじめ決められたルールに従って、自動的に実行されるプログラムのことをいいます。

この仕組みは、あなたが自動販売機でコインを投入し、好きな飲料水のボタンを押して売買契約を成立させる仕組みとよく似ています。

イーサリアムでは、利用者がトランザクションと呼ばれる取引データをスマートコントラクトに渡すと、決められた契約が自動で実行されるようになっています。

このとき、管理者や仲介者が不在でも取引は成立します。

イーサリアムが素晴らしいのは、このようなスマートコントラクトを誰でも利用可能かつ、誰でも実装可能であるという点です。

プログラミングの知識さえあれば、自分専用の独自トークン(暗号資産)を発行することも簡単にできてしまいます

さらに、イーサリアムはオープンソースで開発が進められており、誰でもソースコードを確認することができます。

そして、イーサリアム上にあるスマートコントラクトのソースコードも公開されます。

ソースコードが公開されることにより、不正なプログラムや脆弱性などを世界中の開発者が常に確認することができるため、長期にわたる安定した開発を見込むことができるのですね。

イーサリアムの仕組み

イーサリアムは、P2Pネットワーク上でブロックチェーンと呼ばれる技術を用いることによって、取引されます。

P2Pネットワークとは、接続された複数のコンピュータ同士で通信する方式のことです。

ブロックチェーンとは、暗号技術を用いて「ブロック」をチェーンのようにつないで蓄積する仕組みです。

P2Pネットワーク上には中央集権サーバが存在しないため、取引データは接続された世界中のコンピュータに分散的に保存されるというわけです。

また、イーサリアムのブロック生成時間は約15秒であり、ビットコインの約40分の1のスピードで処理をすることができます。

さらに、イーサリアムは送金記録だけでなく、dAppsなどのアプリケーションをブロックチェーン上に記録することができます

これにより、イーサリアム上では、さまざまな複雑な取引や契約を行うことができるのです。

コンセンサスアルゴリズム

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックを追加する際のルールとなるコンセンサス(合意)形成を行うアルゴリズム(方法)のことです。

現時点(2022年3月)で、イーサリアムは、コンセンサスアルゴリズムにPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しています。

PoWは、ビットコインも採用しているコンセンサスアルゴリズムですね。

しかし、イーサリアムは、2022年中にもPoS( プルーフ・オブ・ステーク )に移行される予定になっています。

PoSとは、その暗号資産の保有者がネットワークを支える仕組みです。

暗号資産の保有量が多く、保有期間が長い人ほど、マイニング(ブロックチェーン上でブロックを繋げていく作業)をする権利を得やすくなるというわけです。

それにより、マイニングにかかる消費電力を抑えることができ、処理速度を高めることができると言われています。

誰が取引データをブロックチェーン上に追加するの?

イーサリアムのPoSでは、誰が取引データをブロックチェーン上に追加するのでしょうか?

答えは、「バリデータ」と呼ばれるネットワーク参加者です。

バリデータとは、ブロックチェーン上にブロックを追加したり、他のバリデータが追加したブロックの正しさを検証するノードのことです。

バリデータは、少なくとも32ETHをロックアップする(使うことができないように預ける)必要があります。

さらに、ETHを多く保有しているバリデータほど、マイニングをする権利を得やすくなる仕組みになっています。

EOAとコントラクトアカウント

イーサリアムネットワークは、「EOA(外部所有アカウント)」「コントラクトアカウント」と呼ばれる2種類のアカウントの集合で構成されています。

この集合のことを「状態(state)」と呼び、状態が変化する度に、イーサリアムネットワークが更新されていきます

「EOA」とは、私たちユーザーが作成するアカウントのことです。

EOAは、秘密鍵を持ち、「他ユーザーへのETH送金」や「コントラクトアカウントの作成・実行」を行います

ウォレットに紐づくアカウントで、ビットコインの持つアカウントと同じようなものです。

一方で「コントラクトアカウント」とは、スマートコントラクトの実行コードを持つアカウントです。

コントラクトアカウントは、秘密鍵を持たず、EOAによって生成・実行されます

コントラクトアカウントがあることによって、さまざまな複雑なアプリケーションを作成することができるのです。

トランザクション

トランザクションとは、「ユーザー(EOA)間の送金」や「コントラクトアカウントの実行・作成」などの取引データのことをいいます。

「状態(state)の変化」はすべてトランザクションの生成によってのみ起こります

トランザクションがいくつか生成されると、それらは「変化した状態(state)を格納したブロックヘッダ」とともに1ブロックにまとめられ、ブロックチェーン上に追加されていきます。

また、トランザクションは、EOAが秘密鍵を使って署名することによってのみ生成することができます。

一方、秘密鍵を保持しないコントラクトアドレスは、基本的にトランザクションを生成することはできません

さらに、トランザクションは、次の3種類に分けられます。

  • メッセージコール
  • コントラクト生成
  • 内部トランザクション

メッセージコール

メッセージコールとは、「EOA(ユーザー)間の送金」や「コントラクトの実行」を行うトランザクションです。

※トランザクションを実行すると手数料(ガス代)がかかりますが、わかりやすくするため、ここでは省略しています。

「EOA(ユーザー)間の送金」を行った場合トランザクション実行後の流れは、上図のようになります

EOAがこのトランザクションを実行すると、「EOAの残高」が変化し、「state(状態)」状態Aから状態Bに変化します。

このように、イーサリアムでは、通貨の送金記録だけでなく状態変化も記録していくのです。

そのため、しばしば「ワールド・ステート・コンピュータ」と呼ばれることもあります。

一方、「EOA(ユーザー)がコントラクトの実行」を行った場合トランザクション実行後の流れは、下図のようになります

EOAがこのトランザクションを実行すると、そのコントラクトに記述されたプログラムコードが実行されます。

そして、「EOAやコントラクトアカウントのパラメータ変化する」という状態の変化が起こります。

例えば、「暗号資産をユーザー同士で貸し借りできるようなレンディングサービス」を提供するスマートコントラクトを実行したとします。

すると、自動でユーザー間のレンディングの契約が行われ、管理者不在で貸出や利息支払いのやり取りが実行されます

最終的には、EOA(ユーザー)やコントラクトアカウントのパラメータ(貸出残高や利息など)が変化するのですね。

コントラクト生成

コントラクト生成とは、EOAが「スマートコントラクトの生成」を行うトランザクションです。

※トランザクションを実行すると手数料(ガス代)がかかりますが、わかりやすくするため、ここでは省略しています。

「コントラクト生成」を行った場合トランザクション実行後の流れは、上図のようになります

EOAがこのトランザクションを実行すると、新規コントラクトアカウントがブロックチェーン上に追加されます。

内部トランザクション

トランザクションは、基本的にEOAによってのみ作成することが許されています

すなわち、コントラクトアカウントは自分自身でトランザクションを作成することができないということです。

しかし、コントラクトアカウントは、EOAから指示があれば、他のコントラクトアカウントに対してトランザクションを生成することができます。

このようなトランザクションのことを「内部トランザクション」と呼びます。

内部トランザクションにより、さまざまなコントラクトアカウント間での連携が可能になり、複雑な処理が行えるようになっています。

トランザクション生成からブロックチェーン追加までの流れ

EOAがトランザクションを生成してから、それがブロックチェーン上に追加されるまでのおおまかな流れは以下の通りです。

  1. EOA(ユーザー)がトランザクションを「生成」or「実行」
  2. 各アカウントの状態(アカウントステート)が変化
  3. イーサリアムネットワーク全体の状態(ワールドステート)が変化
  4. 「トランザクション」と「変化した全アカウントの状態」などを1ブロックにまとめる
  5. マイナーがそのブロックをブロックチェーン上に追加・承認

注目すべきポイントは、ブロックチェーン上に追加されるブロックに「トランザクション」「イーサリアムネットワーク全体の状態(ワールドステート)」が挿入されている点です。

イーサリアムは、「ワールドステート」をひたすらにブロックチェーン上に追加していく仕組みであるということですね。

内部通貨:Ether

イーサリアムでは、送金手数料の支払いやスマート・コントラクトを履行するための手数料およびマイニングの報酬として「Ether」が用いられます。

Etherは、「ガス」と呼ばれており、よく「ガス代が高い」などと言われていますが、そのガス代はだいたいEtherのことです。

Etherの通貨単位「ETH」で、取引所などで売買することもできます。

Ether(トランザクション手数料)の計算式は、以下の通りです。

Ether:計算式

Ether = gasPrice(ガス価格)× gasLimit(上限)

「gasPrice(ガス価格)」とは、トランザクション生成者が任意に決定できる手数料です。

gasPriceを高くするほど、そのトランザクションの処理が優先されるため、早く処理される可能性が高くなります。

「gasLimit(上限)」とは、トランザクションを完了するために最大いくらまでなら支払ってもよいかを表す値のことです。

EOA(ユーザー)同士でETHを送金をする場合、gasLimitはデフォルト値が21,000となっており、基本的に変更する必要はありません。

なお、gasLimitが不十分の場合は、トランザクションの実行が途中でガス欠になってしまい中止されてしまいます。

その場合、途中までに消費された分は送金者のもとに返却されません。

逆に、正常にトランザクションの処理が行われた場合、余った分は送金者に返却されます。

イーサリアムの代表的な活用例

ここでは、イーサリアムの代表的なdApps(分散型アプリケーション)をいくつか紹介します。

分散型取引所「Uniswap」

Uniswapは、 イーサリアムのブロックチェーン上に構築された分散型取引所(DEX)です。

管理者不在で、ユーザー同士が暗号資産の交換を行うことができます。

交換までの流れは以下のようになります。

Uniswapではまず、ユーザーが「プール」と呼ばれる場所に「2種類の暗号資産」を1:1の割合で供給することで、流動性を供給します。

暗号資産を交換したいユーザーは、その「プール」にアクセスし、スマートコントラクトにより自動計算された価格で暗号資産を交換することになります。

以上で取引完了です。

さらに、プールに暗号資産のペアを預けたユーザーは、「UNIトークン」を獲得することができます。

UNIトークンとは、ガバナンストークンであり、持てば持つほどUniswapの運営に影響力を及ぼすことができる権利のようなものです。

UNIトークンは、バイナンスやコインベースに上場しており、売却して利益を得ることもできるため、Uniswapの利用者はここ数年で急速に増加してきています。

レンディングプラットフォーム「Compound」

Compoundは、イーサリアムのブロックチェーン上に構築されたレンディングプラットフォームです。

管理者不在で、ユーザー同士が暗号資産の貸し借りを行うことができるのですね。

貸し借りの流れは以下のようになります。

ユーザーが貸し出した暗号資産はまず、「プール」と呼ばれる場所にまとめて預け入れられます。

暗号資産を借りたいユーザーは、その「プール」にアクセスし、スマートコントラクトにより自動計算された利率で暗号資産を借りることになります。

このとき、 借り入れたユーザーは利息を支払い、貸し出したユーザーは利息を受け取るといった契約をスマートコントラクトに追加します。

以上で取引完了です。

さらに、ユーザーは貸借のどちらを行っても「COMPトークン」を獲得することができます。

COMPトークンとは、ガバナンストークンであり、持てば持つほどCompoundの運営に影響力を及ぼすことができる権利のようなものです。

COMPトークンは、バイナンスやコインベースに上場しており、売却して利益を得ることもできるため、Compoundの利用者はここ数年で急速に増加してきています。

NFTゲーム「クリプトキティーズ

クリプトキティーズCrypto Kittiesは、 イーサリアムのブロックチェーン上に構築されたNFTゲームです 。

クリプトキティーズは、NFT化された猫を交配させて、希少性の高い猫を集めていく、とてもシンプルなゲームです。

NFTとは、非代替性トークン(Non-Fungible Token)の略で、替えのきかない唯一無二のトークンのことです。

交配によって生まれた希少性の高い猫(NFT)は、ゲーム内のマイページ画面や「OpenSeaなどのNFTマーケットプレイス」でETHに換金することができます。

ステーブルコイン「USDC」

USDC(USD Coin)は、米ドルに連動する(米ドルにペッグする)ステーブルコインです。

1USDCはいつでも1米ドルに交換でき、米ドルや短期米国債などの準備金(担保)によって価値が裏付けられています

ステーブルコインには、USDCのような「法定通貨担保型」のほかに、「暗号資産担保型」「無担保型」などのステーブルコインも存在します。

暗号資産担保型のステーブルコインは、DAIが有名です。

また、無担保型のステーブルコインは、Terra USD(UST)が有名です。

イーサリアムの将来性

ヴィタリック・ブテリン氏によりイーサリアムのホワイトペーパー(構想)が公表されてから現在までに8年4カ月が経過しました。

その間、さまざまなアップグレードが行われ、最終アップグレードであるセレニティ(イーサリアム2.0)も着実に前進しています。

イーサリアム2.0へのアップグレードが完了すれば、現在のガス代高騰の問題スケーラビリティ問題を解決することができると言われています。

そして、コンセンサスアルゴリズムが「POWからPOS」へ完全に移行されることで、消費電力を99.95%削減できるとも言われています。

イーサリアムの将来は、イーサリアム2.0へのアップグレード成功により、さらなる需要拡大を果たすことになることが予想されます。

需要が拡大すると、当然イーサリアムの価格も上昇していきますので、将来がとても楽しみですね。

イーサリアム2.0でのステーキング報酬獲得方法

イーサリアム2.0でステーキング報酬を獲得するには、大手暗号資産取引所であるクラーケン(Kraken)バイナンス(Binance)の口座を開設する必要があります。

口座開設を完了したあと、ステーキング(貸出)をすることで誰でも簡単にステーキング報酬を受け取ることができます

ここでは、クラーケンでのステーキング方法について解説します。

【クラーケン】口座開設方法

クラーケン (Kraken)の口座開設は、以下の手順で行います。

  • アカウントの作成
  • 個人情報の入力と本人確認
  • 書留郵便を受け取り口座開設

アカウントの作成は、こちらから作成することができます。

本人確認は、運転免許証マイナンバーカードなどに加えて、補完書類として住民票などが必要になります。

私の場合、運転免許証と住民票の2点で本人確認を完了させることができました。

最後に、書留郵便を受け取ることで、口座開設が完了です。

【クラーケン】ステーキング方法

ステーキングは、以下の手順で行います。

  • クラーケンの口座に日本円を入金
  • イーサリアム(ETH)を日本円で購入または、入庫
  • 画面上に表示されている「Earn」のページに移動
  • 「ステーキング(貸出)」をクリック
  • ステーキング通貨【ETH】を選択し、開始する

ステーキングのAPR(年間利回り)は、4~7%です。

注意点としては、ステーキングされたETHおよびその報酬(リワード)はイーサリアム2.0ネットワークのアップグレードが完了するまで返却されないことです。

そして、イーサリアム2.0アップグレードが遅れたり、完了しない場合、ネットワーク上の資産(ロックしたETH)を入出金ができない可能性がありますので、十分理解したうえで利用してくださいね。

まとめ

ここまで、イーサリアムの持つ価値仕組み将来性、さらにはイーサリアム2.0のステーキングにおける報酬獲得方法について解説してきました。

最後に、「イーサリアムとは?」についてまとめておきます。

「イーサリアムとは?」

  • dApps(分散型アプリケーション)を動かすためのプラットフォーム
  • P2Pネットワーク上でブロックチェーン技術を用いる
  • 管理者や仲介者が不在でも取引は成立
  • PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用
  • トランザクション生成or実行全状態の変化ブロックチェーンに追加
  • Ether = gasPrice(ガス価格)× gasLimit(上限)
  • UniswapCompoundクリプトキティーズなどのdAppsが豊富にある
  • イーサリアム2.0のアップグレード真っ最中
  • APR(年間利回り)4~7%でステーキング可能

イーサリアムは今後、さまざまな分野において活用されうる技術であり、ますます発展していく可能性が高い暗号資産です。

イーサリアム2.0のアップグレードが成功すれば、ガス代高騰問題やスケーラビリティ問題が緩和されるため、さらなる企業の流入も期待されます。

ドルや円、ユーロなどの現金が急速に「ゴミ」化していくなか、レイ・ダリオ氏やポール・チューダー・ジョーンズ氏などの著名投資家も暗号資産に注目し始めています。

イーサリアムが将来どのように進化していくのか、とても楽しみですね。

本記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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