「よし!500万円を貯蓄しよう!」「1,000万円を貯蓄しよう!」と決めて貯金を始める人は多いですが、ほとんどの人は途中で挫折し、失敗に終わってしまいます。
なぜ、多くの人は貯金を途中で挫折してしまうのでしょうか?
「給料が低いから?」「意志力が弱いから?」、あるいは「貯金の才能がないから?」などと考えがちですが、違います。
多くの人が貯金に失敗してしまうのは、『貯めるための原則』を知らないからです。
『貯めるための原則』は7つあり、この原則を守って貯金を継続すれば、高確率で貯金を成功させることができるのです。
「給料は全国平均以下」「意志力は弱い」「お金が特別好きではなかった」筆者の私が、30代前半で1,000万円を貯めることができたのですから、7つの原則に従って貯金を継続すれば、ほとんどの人は貯金を成功させることができるでしょう。
もちろん、1,000万円を貯めるのはそんなに簡単なことではありません。
ほとんどの人が1,000万を貯めるどころか、500万円を貯めることさえできないのが現状です。
しかし何度も言いますが、『貯めるための7原則』に従って貯金を行えば、1,000万円の貯金を成功させる確率を大幅に上げることができます。
意志力や才能は関係ありません。
むしろ、意志力の弱さや才能のなさを自覚している人ほど、成功の可能性は高くなります。
意志力の弱さや才能のなさを自覚し、それを補うために工夫して継続できる人が成功するのです。
本記事では、「日本人の貯蓄状況」、「1,000万円を貯めるための7原則」、「筆者が1,000万円を貯めた経験談」などについて解説・紹介していきますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
日本人の貯蓄状況
まずは、日本人の貯蓄状況について見ていきましょう。
「二人以上世帯」における日本人の貯蓄状況は、平均貯蓄額は1,563万円、中央値は450万円となっています(出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査」(令和3年)」)。
本記事で記載する平均貯蓄額・中央値は、『預貯金や生命保険、投資信託、株式、債券などの金融資産』の平均・中央値のことです。
分かりやすく言うと、すぐに現金に換金できる金融資産のことですね。
以下の節で、もう少し詳しく見ていきます。
日本人の貯蓄額の分布
世帯構成 |
0 ~100 万円 未満 |
100 ~500 万円 未満 |
500 ~1,000 万円 未満 |
1,000 ~2,000 万円 未満 |
2,000 ~3,000 万円 未満 |
3,000 万円 以上 |
平均 貯蓄額 |
中央値 |
二人以上世帯 | 30.1% | 19.1% | 13.1% | 13.4% | 7.5% | 13.5% | 1,563万円 | 450万円 |
単身世帯 | 47.0% | 16.3% | 10.4% | 9.4% | 4.7% | 9.4% | 1,062万円 | 100万円 |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査][単身世帯調査](令和3年)」
上の表は、日本人の貯蓄額の分布をパーセント表示したものです。
「二人以上世帯」では、約50%の人が貯蓄額500万円未満であり、約30%の人が100万円未満となっていますね。
そして「単身世帯」では、約47%の人が貯蓄額100万円未満であり、半分程度の人が貯金を上手く行えていないことがうかがえます。
続いて、年代別における平均貯蓄額と中央値(二人以上世帯)を見てみましょう。
【年代別】「二人以上世帯」平均貯蓄額と中央値
年代 | 平均貯蓄額 | 中央値 |
20代 | 212万円 | 63万円 |
30代 | 752万円 | 238万円 |
40代 | 916万円 | 300万円 |
50代 |
1,386万円 |
400万円 |
60代 | 2,427万円 | 810万円 |
70代 | 2,209万円 | 1,000万円 |
全体 | 1,563万円 | 450万円 |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」
ついでに、年代別の貯蓄額「1,000万円未満」「500万円未満」「なし」の人の割合(二人以上世帯)についても、以下にまとめましたので見てみます。
年代 | 貯蓄額1,000万円未満 | 貯蓄額500万円未満 | 貯金なし |
20代 | 93.6% | 83.6% | 37.1% |
30代 | 78.4% | 62.3% | 22.7% |
40代 | 72.3% | 56.4% | 24.8% |
50代 | 63.2% | 50.5% | 23.2% |
60代 | 50.7% | 39.5% | 19.0% |
70代 | 47.2% | 36.2% | 18.3% |
全体 | 62.3% | 49.2% | 22.0% |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」
上記データを見てみると、20代~50代までは「半数以上が500万円未満」、60代・70代は「約半数が1,000万円未満」であることがわかります。
また、貯金なしの世帯も全体で22%と多い状況です。
このような現状では、若い世代が子どもを産むのを躊躇してしまうのもわかりますし、多くの人が現在や老後の生活に不安を抱くのも無理はありません。
60代以上の方が定年退職後も生活費を稼ぐために働いている方が多いというのもよく理解できます。
しかし、豊かな老後を過ごすために2,000万円必要(「金融庁・金融審議会による市場ワーキング・グループ報告書」で公表)であることを考えると、とても望ましい状況であるとは言えません。
では、多くの日本人は十分な貯蓄をしなくても良いと思っているのでしょうか?
おそらく違うと思います。
不安を解消したり、老後を豊かに過ごすために貯蓄をする必要があるとは認識してはいるが、上手く貯蓄を行うことができないというのが実情ではないのでしょうか?
以下の節でそのあたりのことをデータを通して見ていきます。
【年代別】「二人以上世帯」貯蓄額の目標金額
年代 | 平均貯蓄額 | 中央値 |
20代 | 2,177万円 | 1,000万円 |
30代 | 3,365万円 | 1,500万円 |
40代 | 2,926万円 | 1,500万円 |
50代 | 3,308万円 | 2,000万円 |
60代 | 3,655万円 | 2,000万円 |
70代 | 3,046万円 | 2,000万円 |
全体 | 3,233万円 | 2,000万円 |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」
上記データを見てみると、貯蓄額の平均目標金額は各年代とも高く設定されていることがわかります。
どうやら、多くの人は老後までに2,000万円以上は貯蓄したい、若いうちには1,000~1,500万円ほどの貯蓄を達成したいなどの理想は持っているようです。
しかし現実は厳しく、ほとんどの方の貯蓄額は目標を大きく下回る貯蓄水準にある状況です。
この「目標と現実の差」はどのくらい開いているのでしょうか?
以下に、年代別の「目標と現実の差」(「二人以上世帯」)をまとめましたので見てみましょう。
まずは、『目標の貯蓄額(中央値)』と『現実の貯蓄額(中央値)』の差を以下に示します。
年代 | 目標の貯蓄額 | 現実の貯蓄額 | 目標と現実の差 |
20代 | 1,000万円 | 63万円 | -936万円 |
30代 | 1,500万円 | 238万円 | -1,262万円 |
40代 | 1,500万円 | 300万円 | -1,200万円 |
50代 | 2,000万円 | 400万円 | -1,600万円 |
60代 | 2,000万円 | 810万円 | -1,190万円 |
70代 | 2,000万円 | 1,000万円 | -1,000万円 |
全体 | 2,000万円 | 450万円 | -1,550万円 |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)」
続いて、『目標の貯蓄額(平均)』と『現実の貯蓄額(平均)』の差を以下に示します。
年代 | 目標の貯蓄額 | 現実の貯蓄額 | 目標と現実の差 |
20代 | 2,177万円 | 212万円 | -1,965万円 |
30代 | 3,365万円 | 752万円 | -2,613万円 |
40代 | 2,926万円 | 916万円 | -2,010万円 |
50代 | 3,308万円 | 1,386万円 | -1,922万円 |
60代 | 3,655万円 | 2,427万円 | -1,228万円 |
70代 | 3,046万円 | 2,209万円 | -837万円 |
全体 | 3,233万円 | 1,563万円 | -1,670万円 |
出所:知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]および[単身世帯調査](令和3年)」
上記2つのデータの「目標と現実の差」を見てみると、目標と現実のギャップはマイナスに大きく乖離しているのがわかります。
多くの人は、なかなか計画通りに貯蓄することができていないのですね。
では、なぜ多くの人は計画通りに貯金をすることができないのでしょうか?
そして、どうやったら計画通りに貯金をすることができるようになるのでしょうか?
次の章以降では、そのあたりのお話をしていきたいと思います。
まとめ:日本人の貯蓄状況
- 貯蓄額の中央値は、20代~50代は「500万円以下」、60代・70代は「1,000万円以下」
- 20代~50代では「貯蓄額500万円未満」の人が半数以上
- 60代・70代では「貯蓄額1,000万円未満」の人が半数以上
- 貯金なしの世帯も全体で22%と多く存在
- 貯蓄額の「目標と現実の差」が大きい
- 全世代で計画通りに貯金をすることができていない
なぜ貯金ができないのか?
なぜ日本人の多くは、計画通りに貯金することができないのでしょうか?
結論から言うと、貯金することができないのは『貯めるための原則』を知らないからです。
『貯金ができない人』はよく、できない理由に「給料が低いから...」、「意志力が弱いから...」、「貯金の才能がないから...」などを挙げたりします。
あるいは、「子どもや親を扶養していて余裕がないから...」という理由を挙げる人もいるでしょう。
しかし、それは正解とは言えません。
人は外部の環境や自分の能力に理由を求めがちですが、貯金をするのに環境や意志力、個人の能力はほとんど関係ありません。
貯金を成功させたければ、まずは『貯めるための原則』を知り、その原則に従って貯金を継続させるのです。
スポーツや勉強でも、まずは「基礎」を学ぶ必要がありますよね?
「基礎」を学び、練習を積み重ねて初めて、試合に勝つことができたり、試験に合格することができます。
貯金をするときも同じです。
『貯金を成功させる人』は、どのような困難な環境に置かれたとしても、工夫と失敗を重ねながら目標達成へと歩き続けます。
そして『貯めるための原則』は、あなたに目標達成に向けて歩き続ける力を与えてくれます。
実際に、筆者である私は「子どもの頃から意志力が弱く」「給料も全国平均以下」「何の才能もない」普通の人でしたが、『貯めるための7原則』に従い、貯金を継続することで35歳の年に1,000万円の貯金を達成することができました。
そんな私でも達成できたのですから、あなたも貯金を成功させることができるはずです。
何度も言いますが、貯金を成功させるには意志力や個人の才能はほとんど関係ありません。
貯めるための原則に従い、貯金を継続させるだけです。
では、その原則とはどうのようなものなのでしょうか?
以下の章では、『1,000万円を貯めるための原則』について紹介していきたいと思います。
1,000万円を貯めるための7原則
この章では、「1,000万円を貯めるための7原則」について紹介していきます。
その7原則に従い、貯金を継続することで誰でも、1,000万円の貯金を成功させることができます。
では、それぞれ説明していきます。
①目標をできるだけ明確化
一つ目の原則は、「目標をできるだけ明確化」することです。
実現したい目標を明確化することで、あなたの脳はその目標を頭の中にはっきりと描き出してくれます。
実現したい目標が頭の中にはっきりと描き出されると、あなたの脳はその目標を達成するために一生懸命に働き始めます。
例えば、「老後を豊かに過ごすために1,000万円貯めたい」などのように明確に決め、実際に『自分が老後を豊かに過ごしている姿』を想像すると、脳が目標を達成するための情報を勝手に集めてきてくれるのです。
このとき、実現したい目標はできるかぎり『ワクワクする目標』にしておきましょう。
例えば、「住宅購入の頭金のために1,000万円貯めたい」のであれば、『わが家であなたと妻子が楽しく笑って暮らしている姿』を想像するのです。
そうすれば、目標が『ワクワクする目標』に変わります。
ワクワクとは、「こんなことが実現したらすごい!楽しみだ!」と脳がときめいている感情のことです。
人間の脳は、ワクワクしているときに脳内物質であるアドレナリンやドーパミン、エンドルフィンなどが出て、エネルギーがあふれ出てきます。
そのエネルギーを目標達成のために利用するというわけです。
人間にはこんな便利な機能が備わっているのですから、使わない手はありません。
ぜひとも利用させてもらいましょう。
そして目標を明確化した後は、『目標を達成するための具体的なステップ』を決めるとさらに効果的です。
例えば「住宅資金1,000万円を貯めたい」のであれば、以下のようにできるだけ具体的な数値を入れた行動目標をつくりましょう。
目標達成のためのステップ
- 貯蓄用の銀行口座を開設
- 毎月8.5万円を給与天引きで貯蓄用口座に振り込む
- 1年後に貯蓄『100万円達成』
- 3年後に貯蓄『300万円達成』
- 5年後に貯蓄『500万円達成』
- 10年後に貯蓄『1,000万円達成』
- わが家であなたと妻子が楽しく笑って暮らしている姿を想像
ちなみに、行動目標はA4ノートなどに書いて定期的に見返すようにすると進捗状況を確認でき、モチベーションを高く維持できるのでおすすめですよ。
②「If then planning」で自動化
2つ目の原則は、「If then planning」で行動を自動化することです。
目標を明確化し、行動目標を決めた後は「If then planning」で自分の行動を自動化させましょう。
If then planningとは、「もしAをしたら、Bをする」というルールを決めておくことで、目標達成率を2倍~3倍上げるテクニックのことです。
このテクニックを用いることで、貯金を習慣化させることができ、『意志力』に頼ることなく誰でも貯金を継続することができるようになります。
例えば「毎月8.5万円を貯金したい」場合、『毎月25日に給料が振り込まれたら、8.5万円を貯蓄専用口座に振り込む』というようにルールを決めるのですね。
ちなみに、給与の一定額を毎月自動で振込or入金してくれるサービスを手数料無料で提供している銀行を利用すると、より確実に貯金を継続して行うことができます。
私自身、「NEOBANK 住信SBIネット銀行」の定額自動入金という機能を利用して、今でも毎月給与から天引きで一定額を貯金し続けています。
意志力の弱い私でも10年以上続けることができていますので、本当におすすめです。
その他にも、「浪費を防ぐためのルール」や「節約するためのルール」などを設定しておくと、途中での挫折を防いでくれます。
以下に、私が貯金を習慣化させるために作成したルールをいくつか紹介しておきますね。
貯金を習慣化させるためのルール
- 「会社の飲み会に誘われた」ら、『お金と時間を消費する価値があるか一度考える』
- 「ブランド物の洋服などが欲しくなった」ら、『本当に必要か自分に問いかける』
- 「ボーナスが入金された」ら、『その50%を貯金する』
- 「臨時収入が入った」ら、『その50%を貯金する』
ただし、If then planningには二つほど注意すべきことがあります。
一つ目は、習慣化したいことを「○○したら、△△しない」などと否定形で設定すると失敗しやすくなるという点です。
人間の脳は行動を否定すると、その行動への衝動を高めてしまう性質があることが知られています。
例えば、「ブランド物の洋服が欲しくなったら、我慢して買わないようにする」などと設定すると、『買いたい』という行動への衝動が高まって、余計に浪費してしまうのですね。
もしそれを防ぎたいのであれば、「我慢して買わないようにする」を『本当に必要か自分に問いかける』などのように肯定形にするとよいでしょう。
そうすることで、習慣化で失敗する確率を大きく減少させることができます。
If then planningでルールを設定するときは、「やめたいこと(否定)」に焦点を当てるのではなく、「自分が望む行動(肯定)」に焦点を当てることを心がけましょう。
二つ目の注意点は、無理のあるルールを設定すると習慣化が失敗しやすくなるという点です。
当たり前ですが、とうてい実現できそうにないルールを習慣化させるのは非常に難しいです。
最適なレベルは、「実現はできるが、少し難しい」くらいのレベルです。
もし設定しているルールが実現不可能なものになっていたら、レベルを下げて最適なものに改善しておきましょう。
③現状と目標までの距離を把握
3つ目の原則は、現状と目標までの距離を把握することです。
現状と目標までの距離を把握すると、自分がどれだけ進歩したかを確認でき、貯金のモチベーションを高く維持することができます。
さらに人間の脳は、無意識のうちに『現状』と『将来の好ましい状況』を比較してくれます。
そのフィードバックされた情報をもとに、『将来の好ましい状況』を実現するための有益な情報を集めてくれるのです。
人間の脳は、さまざまな情報を自動で集め、目標達成までに起こるさまざまな問題の解決策やより良いアイデアを勝手に探してくれるので、本当に便利です。
もし、あなたが「貯金1,000万円」を目標としていた場合、現在の貯蓄額(例えば、100万円)と比較して自分がどれだけ目標に近づいたかを確認しましょう。
そうすることで、人間の脳は無意識のうちに『貯金100万円の現状』と『貯金1,000万円を達成した未来』を比較し、有益な情報を勝手に集めてきてくれます。
そして、目標達成のために何が必要なのかを勝手に探してくれるのです。
私の場合、現状と目標までの距離を把握することで、目標達成のためのさまざまな良いアイデアを思いつくことができました。
参考までに、私が実際に思い浮かんだアイデアをいくつか紹介しておきますね。
アイデアの例
- 自分の得意分野で稼ぐ方法(副業)
- 投資信託を利用して、貯蓄期間を短縮する方法
- 株式投資で稼ぐ方法
- 節税で毎月の貯金額を増やす方法
ただし、この原則にはひとつ注意点があります。
それは、「どのくらいの頻度で把握を行えば良いのか?」についての絶対的な指標がなく、あまり頻繁に「現状と目標までの距離」を把握しすぎると、逆にモチベーションを下げてしまう可能性があるということです。
特に初心者の方は、この原則を頻繁に行うことは避けましょう。
最初のうちは、3ヶ月あるいは半年に一度くらいの期間で行い、現状の貯蓄額が大きくなるにつれて徐々に頻度を増やしていくことをおすすめします。
④貯金継続のために多くの選択肢を持つ
4つ目の原則は、貯金継続のために多くの選択肢を持つことです。
目標は、いつも最短距離で達成できるとは限りません。
目標が大きいものであったり、自分にとって価値のあるものであればあるほど、それを達成するまでの間において様々な困難や不運がやってきます。
そしてほとんどの場合、多くの時間や忍耐が必要となります。
ですから、あらかじめ寄り道や抜け道をいくつか選択肢として持っておくことで、できるかぎり挫折を防ぐ必要があるのですね。
Aプランがダメなら、Bのプランに切り替えるなどの対応策を持っておけば、困難にぶつかっても自力で乗り越えることができます。
具体的には、「給料が減り、毎月貯金額が減ったとき」は『交際費や固定費を見直したり、節税策を考える』などのようにあらかじめ決めておくと良いでしょう。
私の場合、そのような困難を克服するための選択肢を10個以上用意していました。
以下にいくつか例を紹介します。
選択肢の例
- 「減給で毎月の貯金額が減ったとき」は、『固定費や交際費を見直す』
- 「家族が増えて貯金額が減ったとき」は、『節税策を実行する』
- 「失業で収入ゼロになったとき」は、『失業手当の金額内で生活できるようにする』
- 「ケガや病気で入院したとき」は、『傷病手当の金額内で生活できるようにする』
- 「貯金を止めざるを得なくなったとき」は、『いったんあきらめて、再チャレンジの準備をする』
さらに選択肢を用意した後は、その方法をより詳細に具体化しておきましょう。
例えば、『固定費を見直す』→『携帯代金や生命保険料を〇万円減らす』、『交際費を見直す』→『ムダな飲み会や外食などの浪費を〇万円分減らす』などのように具体的な行動を決めておくのです。
そうすることで、頭の中でより明確にシミュレーションすることができるのでおすすめです。
⑤成長マインドセットを持つ
5つ目の原則は、成長マインドセットを持つことです。
成長マインドセットとは、「人間の能力は努力によって向上させることができる」という考え方のことです。
成長マインドセットを持つことで、「今はまだ発見されてない自分の能力(未知の能力)」に気づき、伸ばすことができます。
成長マインドセットを持つためには、「失敗しても良い」と心で唱えながら『新しいことに挑戦する』のが良いとされています。
挑戦する中での失敗に関して「またひとつ学んだ」と思うことで、成長する喜びを感じながら目標達成へと前進することができるのです。
私の場合、そのような心構えで貯蓄を継続することで、自分の中にさまざまな未知の能力があることを発見しました。
以下に『発見した自分の能力』をいくつか紹介します。
発見した自分の能力
- 投資で金融資産を増やす能力
- 副業で稼ぐ能力
- 節税や節約でお金を貯める能力
- 毎日コツコツ勉強する能力
これらの自分の能力は決して飛びぬけたものではありませんでしたが、それはあまり重要ではありません。
少しでも得意なことが見つかれば、それを伸ばしていけば良いのです。
誰にでも何かしらの得意な能力があるはずです。
その能力を目標達成のために活用すれば、より確実に成功へと近づいていけます。
「成長マインドセット」は、自分の脳にかける魔法のようなものです。
成長マインドセットを持った脳は、自動で自分の中にある未知の能力を探しだし、見つかるとすぐに教えてくれます。
こんな便利な魔法は使わないと損です。
ぜひ活用していきましょう。
⑥やり抜く力(GRIT)を発揮する
6つ目の原則は、やり抜く力(GRIT)を発揮することです。
「やり抜く力(GRIT)」とは、『困難にも屈せず、長期的な目標を最後までやり抜く力』を意味する言葉です。
以下の4つの要素からなり、それぞれの頭文字をとって「GRIT」と呼ばれます。
- Guts:困難なことに立ち向かう「根性」
- Resilience:失敗しても諦めない「復元力」
- Initiative:自ら目標を見つける「自発力」
- Tenacity:最後までやり遂げる「執念」
やり抜く力(GRIT)を発揮することで、才能や知性の高さに関係なく、困難な目標を達成することができます。
そしてGRITは、「大人になってからもトレーニングを実施すれば、後天的に伸ばすことができる」ということがペンシルベニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース氏によって提唱されています。
つまり才能や知性がなくても、努力を重ねてGRITを伸ばしていけば『誰でも成功できる』ということです。
では、どうすればGRITを伸ばすことができるのでしょうか?
答えは、ここまで説明してきた「1,000万円を貯めるための7原則」の中の①~⑤を実践することです。
お金を貯金しながら、GRITも同時に伸ばすことができるというわけです。
まさに一石二鳥ですね。
GRITを伸ばす方法は以下の通りです。
- 自分が難しいと思う目標(1,000万円貯金)に挑戦する
- 目標を明確化する
- 目標を細分化し、小さな成功体験を積む
- 現状と目標までの距離を把握する
- 寄り道や抜け道を選択肢として持つ
- 成長マインドセットを持つ
ちなみに、「GRITが高い人と一緒に行動」したり、「YOUTUBEで成功しているGRITが高い人の動画を毎日見る」ことでも自分のGRITを伸ばすことができますよ。
GRITの高い人と一緒に行動し、その人の思考や行動パターンを真似するだけなので、特に初心者の方におすすめの方法です。
⑦意志力を過信しない
7つ目の原則は、意志力を過信しないことです。
人間の意志力は、筋肉と同じように使えば使うほど消耗してしまうことが知られています。
意志力が弱まると、自己を上手くコントロールできなくなり、貯金などの良い習慣を途中で挫折してしまう可能性が高くなります。
ですから意志力は過信せず、「意志力の消耗」をできるかぎり抑える必要があるのです。
意志力の消耗を抑える方法をいくつか紹介します。
意志力の消耗を抑える方法
- 大きな目標は1つに絞る
- できるだけ簡単な方法を選ぶ
- 誘惑の多い場所に行かない
- 日々の生活や仕事でIf then planningを活用する
また、消耗した意志力を回復させることも重要です。
意志力を回復させる方法は以下の通りです。
意志力を回復させる方法
- 疲れたと感じたときは、昼寝をする
- 十分な睡眠をとる
- 散歩や運動をする
- 自然が豊富な環境に行く
人間の意志力は、有限で消耗する特徴を持っています。
意志力を消耗させたまま放置していると、さまざまな良い習慣をやめてしまう結果になります。
そして、良い習慣を止めてしまうと、元に戻すのに大変な労力を必要とします。
それを防ぐためにも、意志力の消耗をできるだけ抑え、適度に回復させてあげるようにしましょう。
筆者が1,000万円を貯めた経験談
ここでは、筆者が実際に1,000万円を貯めた経験談について紹介していきます。
25歳から貯蓄を始め、9年間で1,000万円の貯蓄を成功させるまでの過程を以下に示します。
- 25歳から32歳の7年間(2011年4月~2018年3月)で800万円を貯める
- 32歳で結婚
- 結婚式や新婚旅行、新居費用等で-200万円減少する
- 32歳終盤(2018年)iDeCo、つみたてNISAをスタート
- 33歳(2018年)個別株投資をスタート
- 33歳から35歳の2年間(2018年4月~2020年4月)で目標の1,000万円に到達
まず、25歳~結婚(32歳)までの7年間は、毎月10万円前後を貯蓄用の銀行口座に自動入金し続けることで約800万円を貯めました。
この結婚するまでの7年間は”特に何の目標もなく、将来に対する漠然とした不安を解消するため”に銀行口座へ自動入金するだけの日々でした。
今振り返るとすごくもったいなかったなと反省しています。
その後、結婚を契機に『家族で住む家を購入するための頭金を貯めたい』『老後を豊かに過ごす資金をつくる』などのワクワクするような目標を立て、「貯めるための7原則」の活用を始めます。
そして間もなく、毎月10万円の銀行口座入金分を「iDeCo(企業型DC)」「つみたてNISA」への自動積立投資に切り替え、「個別株投資」(初期投資額500万円)での運用をスタートさせたのですが、その効果は絶大でした。
投資成果は以下の表の通りです。
毎月積立額 | 含み益 | 売却益 | |
iDeCo(企業型DC) | 33,000円 | 50,000円 | 0円 |
つみたてNISA | 57,000円 | 200,000円 | 0円 |
個別株投資(日本株) | 0円 | 1,300,000円 | 540,000円 |
合計 |
2,400,000円(2年間) |
1,550,000円 | 540,000円 |
※上表内の数値は2018年~2020年(2年間)の投資成果
『iDeCo(企業型DC)』においては毎月約33,000円を2年間積立投資、『つみたてNISA』においては毎月約57,000円を2年間積立投資していました。
2年間で合計積立金額が240万円です。
投資成果は、『iDeCo(企業型DC)』では約5万円の含み益(2020年4月末時点)、『つみたてNISA』では約20万円の含み益(2020年4月末時点)でした。
『個別株投資』においては、2018年~2020年の間(2年間)、初期投資額500万円を投入して5銘柄に分散投資を行い、約54万円の売却益(税引後利益)を獲得し、2020年4月末時点で約130万円の含み益のある状況でした。
2年間で合計利益が209万円(「含み益155万円」+「売却益54万円」)ですね。
結婚後(当時の貯蓄額600万円)から僅か2年で449万円の資産が増加し、目標の1,000万円を達成できたことになります。
これに関しては素直に驚きました。
正直に言うと、私の給与水準では、ここまで短期間に目標達成できるとはさすがに思っていませんでしたからね。
私にとって、それはまさに「驚きの成功体験」でした。
現在は、新たに『サイドFIRE(週2日勤務)』を達成するために、2027年までに3,000万円貯蓄を目標とし、貯蓄・投資を継続しています。
2022年12月時点で貯蓄額は2,000万円を超えていますので、なんとか達成できるように頑張っていきたいです。
そして、「貯めるための7原則」の効果を引き続き検証していきたいと思っています。
次の目標を成し遂げたときは、また「驚きの成功体験」としてご紹介しますね。
まとめ
ここまで、「日本人の貯蓄状況」、「1,000万円を貯めるための7原則」、「筆者が1,000万円を貯めた経験談」などについて解説・紹介してきました。
以下に簡単にまとめておきます。
日本人の貯蓄状況
- 貯蓄額の中央値は、20代~50代は「500万円以下」、60代・70代は「1,000万円以下」
- 20代~50代では「貯蓄額500万円未満」の人が半数以上
- 60代・70代では「貯蓄額1,000万円未満」の人が半数以上
- 全世代で計画通りに貯金をすることができていない
貯めるための7原則
- 目標をできるだけ明確化
- If then planningで自動化
- 現状と目標までの距離を把握
- 貯金継続のために多くの選択肢を持つ
- 成長マインドセットを持つ
- やり抜く力(GRIT)を発揮する
- 意志力を過信しない
本記事で伝えたかったことは、1,000万円を貯金することは誰にでも可能だということです。
現在の年収や家族状況、才能や意志力の弱さなどに関わらずです。
さらに言うと、その過程で得られる経験や考え方、習慣こそが『真の財産』であると私は考えます。
本記事が、そのような真の財産を築き上げる手助けとなることを心から願っています。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。